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嶋﨑 博之インタビュー写真

なぜこの下着(Fleep)は、医療従事者に選ばれているのか? その人気と販路拡大の“ひみつ”に迫ります。

島崎株式会社 嶋崎博之 山本朱実 インタビュー

何故かリピートしてしまう下着(Fleep)の秘密 
まずは商品を知ることから....

一見何の変哲もない下着に見えますが、これが今回取材させていただいたFleep一体どんな秘密があるのでしょうか?

ヒートテックに代表されるように、高機能な下着が手軽に手に入るようになった昨今、まったく異なる視点から開発された下着があります。それが、今回ご紹介する島崎株式会社の「Fleep(フリープ)」という下着です。その肌触りの良さと高い機能性から、皮膚科医や看護師などの医療従事者から、患者様の肌の状態やご希望に応じた選択肢のひとつとしてご紹介頂くことが多く、多くのメディア(『美的』、『繊研新聞』、『with』、『リンネル』など)でも取り上げられてきました。

一つ言えることはFleepという商品は医療向けの製品ではなく、デザイン性にこだわりながら、敏感肌の方を助けるために企画された商品が医療従事者に広まったということです。

社長のお話に入る前に、まずはこの商品の“ひみつ”をのぞいてみましょう。

素材が全く違う

一般的な下着の多くは、似たような綿のニット素材を使用していますが、Fleepに使われているのは「スマイルコットン®」と呼ばれる特別な素材です。では、このスマイルコットン®は、一般的な綿素材と何が違うのでしょうか?

Fleep 素材 スマイルコットン

この左右のコットン、どちらも同じ10gですが、明らかに違いがあるのがおわかりでしょうか?
その秘密は「糸の撚(よ)り」にあります。たとえば、ぎゅっと絞った布と、絞らずにふんわりとした布では、触ったときの柔らかさがまったく違いますよね。スマイルコットン®は、それを“糸の段階”で実現しているんです。つまり、繊維の撚りをあえてゆるめ、ある程度ほどけた状態にしています。
 これは、糸というより“わた”に近い感触なのです。

糸の撚り

繊維の間に空気をたっぷり含んでいるため、一般的な生地よりもふっくらとして、自然なかさ高(だか)があります。このように、糸そのものが根本的に異なる素材で作られているのが、Fleepの特徴です。実際に触れてみると、まるでコットンとシルクの中間のような、不思議でやさしい肌触りが感じられました。

肌に優しいが 職人には厳しい素材。そう......縫製が難しい

パリッとした布をミシンで縫うのと、わたのようにやわらかな素材を縫うのとでは、難しさがまったく違うことをご想像いただけるでしょうか。しかもFleepは、体にフィットする立体構造の下着。
 ユーザーに少しでも快適な着心地を届けたいという想いがあっても、縫製には高度な技術が求められます。
ミシンのメンテナンスも繊細になり、縫製にかかる時間は通常の倍以上になることもあります。

それでも島崎さんはこだわる

縫い目は外に、肌に当たる部分はフラットに

ただでさえ縫製が難しい素材なのに、Fleepはさらに“とことんユーザーのことを考えた”特別な仕様になっています。
なんと、縫い目が通常とは逆。凸凹のある縫い目は肌に当たらないよう外側に配置し、肌に触れる内側は、できる限りフラットでやさしい肌触りになるよう工夫されています。

タグも肌に当たらないように外に、さらに取れる

Fleep はずせるタグ

タグにも、細やかなこだわりがあります。
本来、品質表示やサイズなどの情報を記載するタグは、着る人にとっては違和感があり、肌に触れて気になる存在です。Fleepではそのタグをあらかじめ外側に縫い付け、肌に直接触れないように設計。
 さらに、タグは簡単に取り外せるよう、目立つ青い糸で後付けされています。

うごく人のことを考える

Fleep 足ぐりクロス構造

肌ざわりの追求はもちろんのこと、人の動きに寄り添った縫製もFleepならではのこだわりです。
たとえば、足の動きをスムーズにサポートできるよう、足ぐり部分にクロス構造を取り入れているアイテムもあります。こうした細やかな工夫は、Fleepのすべての商品に丁寧に反映されています。

入院されている方の事も考える

こちらは、入院されている患者様に好評の前開きタイプの下着です。
 着脱しやすい前開きタイプの機能性とスマイルコットン®の特性を活かした肌触りで乳がん手術後にも着用しやすいよう設計されています。 医療従事者の方々が患者様にご紹介したくなるような、やさしさと配慮が詰まった一着です。

さて、こんなに魅力的な商品がどのように生まれてきたのか──今回は島崎株式会社の代表 嶋﨑さんや山本さんにその想いやものづくりへのこだわりを伺いました。

社長の前に商品のすべてを知る、営業部部長 山本さんに商品について、開発の秘話など、お聞きしました。

本日はお忙しい中お時間ありがとうございます。
ユニクロを筆頭に下着が手に入りやすい時代に、Fleepというブランドコンセプトが一般ユーザーの支持はもちろんの事、それを超えて医療分野まで広がって行ったことに非常に興味があります。 そのへんも含めていろいろお話お聞かせください。

Q Fleep(フリープ)が医療業界で支持を集めるようになった背景には、どのような経緯があったのでしょうか?

敏感肌のための下着が、医療現場に自然と広がった理由
実は全くその潜在的な需要に気づいていなかった....

Fleepは、もともと敏感肌の方に向けて「誰もが安心して着られる下着」を目指してスタートしたブランドです。当初は医療分野を意識していたわけではなく、まさか病院に広がるとは思ってもいませんでした。

転機となったのは、ある大学病院から突然お電話をいただいたことでした。その病院でブレストカウンセラーをされていた方が、たまたま大阪の伊勢丹でFleepの商品をご覧になり、「これは乳がんの患者さんにも良いのでは?」と感じてくださったそうです。それがきっかけで、詳しく説明する機会をいただくことになりました。

当時、私たちは授乳用などを想定した“前開きブラ”を展開していたのですが、パッドの構造や生地のやさしい肌触りが、乳がん患者さんにも適していると評価されました。想定外の気づきでしたが、そこから少しずつ医療現場にも広がっていったのです。

その後、患者さんや医療従事者の方々からの口コミや紹介が重なり、自然と病院などで使われるようになりました。

特に印象に残っているのが、乳がんを経験されたお客様の声です。手術前からFleepを愛用してくださっていた方が、「病気になったときにもそのまま使えると分かっていたから、不安がなかった」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。病気になってから特別なアイテムを探すのではなく、日常的に使っていたものがそのまま使えるというのは、大きな安心感につながると思います。

また、ECサイトなどで「乳がんの術後に使っています」といったレビューをいただくこともあり、私たち自身、あとからそういった需要に気づかされることも多かったです。

さらに、がん患者さん向けの専用サイトでは、術後のドレーン(体液排出用の管)をつけているときもFleepのアームホールのバランスが快適だと評価され、そうした点でも注目されることがありました。

私たちはあくまで、医療用というより「誰でも気持ちよく着られる」ことを目指して商品をつくっているので、病気という属性に縛られず、ふだん使いのなかで自然に使っていただけることが理想です。

もちろん、患者さんに使っていただいているという現実はしっかり受け止めていますが、やはりファッションとして楽しんでいただきたいという思いは強く持っています。だからこそ、デザインや色にも妥協せず、デザイナーにもその部分は常に伝えています。

最近では、性別や年齢を超えてご利用いただくことが増えてきました。もともとは女性向けが中心でしたが、メンズ商品にも力を入れるようになり、「プレジデントオンライン」に掲載されたことを機に、50〜60代の男性からの注文も増えました。また、肌の弱いお子さんやご高齢の方にもご利用いただいていて、「誰にとっても安心して着られる下着」としてのブランド像が少しずつ広がってきていると感じています。

Q 肌触りとは引き換えの、熟練工さえ苦戦した素材、縫製についてお聞かせください。

「こんな難しいの、もう縫いたくない」現場泣かせの下着が、心地よさを生んだ

Fleepは、肌触りを最優先にした“スマイルコットン®”という非常に柔らかい素材を用いています。この素材は、着用者には驚くほどの心地よさをもたらす一方で、縫製現場にはかつてない苦労を強いてきました。実際、工場で長年活躍してきた熟練の縫い子たちでさえ、「こんなに縫いづらい生地は初めて」と悲鳴をあげるほど。ブランド立ち上げから2〜3年は、誰もが「縫いたくない」「続けられない」と口にし、現場からは一時、本気で継続が危ぶまれる声も上がりました。

それでも諦めずに続けられたのは、毎日試行錯誤を重ねる中で少しずつ“縫える手順”や“生地との向き合い方”を蓄積していったから。機械メンテナンスの担当者や素材購買担当者など、部署の垣根を越えて全社的に支え合いながら技術を磨いてきました。

また、使ってくださるお客様からの声――とくに敏感肌や乳がん患者の方々からの感謝の言葉が、現場のモチベーションを支えてくれました。今では「Fleepを縫うのが一番やりがいがある」と語ってくれる縫製スタッフも多く、当初の苦労がブランドの誇りへと変わってきています。

素材そのものも、常に安定供給ができるわけではなく、色ぶれや繊維の表情にバラつきが出ることもあるため、現在も生地メーカーとの品質調整を重ねながら製造にあたっています。いわば、縫製だけでなく、素材づくりから販売まで、すべての工程が“丁寧であること”を求められるブランドです。

Fleepはすべて国内の自社工場及び協力工場でつくられており、効率重視の海外生産では実現できなかった設計と品質が支えとなっています。そのぶん、価格帯としては決して安価ではありませんが、これだけの手間と技術、思いが込められていることを知っていただけたらと思います。

Q 卸・商業の観点から、お客様の声の活用、販売手法のバランス、デジタル広告の課題、など御社のこれまでの経験から見えてきた戦略や考えを教えてください。

ネットにお金をかけるよりも逆にアナログな方が効果的
お客様との対話が、ブランドの未来をつくる

私たちは、お客様とのあらゆる接点を大切にしています。電話でのご注文時にいただくちょっとした声、紙やWEBのアンケート、ECサイトに寄せられるレビューなど、日々集まるリアルな声をすべて社内で記録・分析し、商品開発に活かしています。年間700件を超えるアンケートが蓄積されており、その中には「パッドの出し入れがしづらい」といった細やかな改善点も含まれています。特に電話でのご注文時には、お客様のご不安やお悩みを雑談のような会話の中でうかがうことができ、その内容を「顧客メモ」として記録。後日、商品改善やサービス企画の参考資料として活用しています。こうした、効率を追求するだけでは得られない“生の声”こそが、製品の信頼性や心地よさを高めてくれる大切な手がかりだと感じています。

販売手法に関しても、単にデジタルに頼るのではなく、アナログの強みを生かすよう心がけています。確かに、ECでの販売が全体のボリュームとしては大きく、デジタル広告などの施策も実施しています。しかし、広告単価の高騰などにより、以前ほどの効果を感じにくくなっているのが実情です。さらに、ネット注文に慣れていなかったり、ログインの時点で諦めてしまうようなお客様もいらっしゃるため、すべてをオンラインに集約することは現実的ではありません。

その点、紙のカタログを見て電話で注文されるお客様は今も多くいらっしゃり、会話の中で生まれる安心感や信頼関係が、継続利用や口コミに結びつくことも少なくありません。実際、私たちが受ける電話注文のなかには、注文を超えた相談や雑談にまで発展するケースもあり、そこから製品改善のヒントが得られることもあります。また、イベントや展示会などでの対面の接点も重視しており、ブランドの「顔が見える」ことが信頼につながっていると感じています。

アナログで得た情報も社内ではきちんと記録・管理しており、そうした積み重ねが結果として、さまざまなお客様の声に応えていくための土台になっていると思います。やり方を一つに決めつけず、今後もできるだけ柔軟に工夫していきたいと考えています。

Q 直販も可能な時代において、あえて問屋、卸と協業する理由をどうお考えですか?

問屋はもういらない?——そう思っていた私たちが今、頼りにしている理由

私たちのような中小企業にとって、問屋さんに入っていただけるのはとてもありがたいことだと思います。自社直販の体制もありますが、マンパワーや物流の面を考えると、やっぱり限界があります。

問屋さんが間に入ってくださることで、調整がスムーズになるのは本当に助かっています。とくに納品だけでなく、何かトラブルがあったときの“回収対応”まで引き受けてくださるのは、中小企業にとっては非常にありがたいことです。与信面のサポートも含めて、安心して取引を進められる体制が整っていると感じています。

それに、問屋さんが持っている人脈を通じて、私たちではなかなかたどり着けないお客様や販路にも繋がっていけるのは、とてもありがたいことだと感じています。

物流面でも、たとえば病院向けの販売などでは、専門の問屋さんを通さないと納品ができない場合もありますし、そうした問屋さんが一括でまとめて発注してくださるケースも多く、個別に配送するよりずっと効率的で助かっています。送料の面でも、作業の手間の面でも負担が全然違います。

特に日本のように中小企業や小売店が多い地域では、問屋さんのような存在が間に入ってくださることで、やり取りがとてもスムーズになると思います。医療分野でも、病院の売店に納品するには間に入ってもらう必要があって、そこでもやっぱり問屋さんの力を感じます。

今もいろんな場面で支えていただいていて、本当に心強い存在だと思っています。

山本さん ありがとうございました。

良いものを作り続けていたら、いつの間にか医療の現場にまで届いていた──そんな展開に驚かされました。普通なら「効率に合わない」と諦めてしまいそうな難しい素材に、あえて挑み続けた姿勢も印象的です。さらに、デジタル全盛の時代にあっても、電話対応のような一見非効率に見える接点から、数多くの気づきや改善のヒントを得ているというお話も心に残りました。デジタル化が進み、人との対話が減りつつある今だからこそ、その価値がより際立っているのだと思います。そして、販売だけでなく、トラブル時の回収対応まで含めて考えると、問屋さんが間に入る意義が改めて理解できます。売るときだけでなく、売った後にこそ問屋の存在が光る──そんな視点もまた、学びの多いものでした。

山本さんからは現場でのご苦労、そして続けていく上でのご苦心を伺いました。編集部としては、その思いを踏まえ、あえて社長に率直な疑問を投げかけてみたいと思います。

「社長! なんでこんな大変なものに挑戦しているのでしょうか?」

島崎株式会社 代表取締役社長・嶋﨑博之さんに、お話をうかがいました。
「もう縫いたくない」という現場の声もあったというFleepを、なぜ、どうやって続けてこられたのか。その想いに迫ります。

Q  “縫いたくない”という声が出るほど難しい商品を、なぜあえて作り続けてこられたのですか?

閑散期を逆手に取って始まったFleep

Fleepを立ち上げた背景には、自社工場を持っている以上避けられない「閑散期」の問題がありました。「60人も従業員がいて来月どうするのよ? 」..... 春夏秋冬で需要の波があり、忙しい時期は仕事があっても、暇な時期には仕事がほとんどありません。外からの受注は単価が低く、赤字や稼働減によって従業員の給与にも影響します。そこで、自分たちで生産をコントロールできるブランドを持ち、年間を通して工場を回す必要があったのです。

そのタイミングで出会ったのが、スマイルコットン®という特殊な素材です。やわらかくて気持ちの良いこの素材は、祖父や母の代から続く「やさしいものづくり」の歴史にぴったり合っていました。反面、縫製は非常に難しく、現場からは「扱いづらい」という声も多く上がりました。大手メーカーの方からも「こんなに難しい生地は絶対にやらない」と言われたことがありましたが、そのとき母(当時の社長)と顔を見合わせ、「だからこそ自分たちにとっては良かったね」と話し合ったのを覚えています。誰もやらないからこそ差別化になり、自社の存在意義にもつながると感じたのです。

Q Fleepのような難しい製品づくりを続けてきたことは、現場やブランドにどんな力をもたらしましたか?

技術者の手が覚える財産

Fleepのように手間のかかる製品を作り続けると、技術者がその素材や工程に慣れ、他社には真似できないノウハウが蓄積されます。半年、1年と縫い続けることで感覚が研ぎ澄まされ、工場全体の対応力も上がっていきます。これは短期的な効率では測れない、ブランドにとって大きな資産です。

続けるうちに技術者の手が慣れ、Fleep専用のラインを設けることで効率も改善しました。難しい素材だからこそ、他社には真似できない製品づくりが可能になり、今ではこの“難しさ”こそがブランドの差別化と技術資産の源になっています。

島崎では日頃から縫製の難しい生地を扱うことが多く、薄手で柔らかく、伸び縮みする生地にも対応しています。そのため、全ラインでFleepを縫うことになっても、自然に対応できる体制が整ってきています。

Q 国内に自社工場を持つ意義、そして物価高騰下でどのように海外工場との連携を考えているのか、お聞かせください。

負担であり、同時に最大の武器

自社工場を持つことは、人件費や固定費の負担が大きい一方で、他社が対応できない難しい製品を作れるという大きな強みでもあります。かつては私自身、外部委託のファブレス経営のほうが身軽で良いと思っていました。しかし、東日本大震災で岩手の工場が被災しながらも残り、社員が働ける環境があったことで「守らなければ」という気持ちに変わりました。

数量と価格、そして自社工場を持つ意味

工場を維持していくには「量」が出なければ埋まりません。そのため価格設定も、ある程度の数量を見込んだうえで成り立つように考えています。ニッチな商品で喜ばれても、数量が出なければ工場全体を動かすことはできません。ときには赤字になることもありますが、自社工場を持っているからこそ、グループ全体で吸収しながら挑戦を続けることができる。これが自社工場を持つ最大の意味であり、他社にはない強みだと思っています。

実用衣料の弱みと国内生産の厳しさ

さらに、下着は「実用衣料」であるがゆえに価格を上げづらい難しさがあります。高級ブランドのように値段を大きく引き上げて利益を確保することが難しく、生活必需品として価格にシビアに見られます。国内の最低賃金は毎年上がっていく一方で、販売価格にはなかなか転嫁できず、構造的な厳しさがあります。以前は「日本製」に強くこだわっていましたが、こうした環境のなかでは国内だけで生産を続けるのは難しくなっています。品質や対応力は日本の工場が優れているものの、価格的に合わない部分は海外生産も組み合わせざるを得ません。現在は定番品の一部をベトナムで試験的に生産し、国内外の体制をミックスする方向を探っています。

Q Fleep、そして島崎として、今後どのような展開や未来を描いていきたいとお考えですか?

認知度を広げ、必要とする人に届けたい

Fleepは18年続けてきましたが、まだまだ知られていないブランドです。最近ではプレジデント誌に取り上げていただいたこともあり、「こんな下着があったんだ」と新しく知ってくださるお客様も増えてきました。まずは、困っている方に一人でも多く届くように、認知度を広げていくことが大きな課題だと考えています。

肌の弱い方や乳がんの術後で下着に悩む方は、日本だけでなく海外にもいらっしゃいます。台湾や韓国でも同じようなニーズがあると聞いていますし、中国のインフルエンサーがSNSで紹介したことをきっかけに、現地の方がわざわざ弊社まで買いに来られたこともありました。こうした動きからも、海外に広がっていく可能性を強く感じています。

問屋との連携で広がる可能性

とはいえ、私たちのような小さな企業だけではPRや販路開拓に限界があります。だからこそ、問屋さんと一緒に取り組むことが重要だと思っています。問屋さんは幅広いネットワークや顧客接点を持っており、地方の専門店や海外展開でも力を発揮できます。たとえば専門店のお客様を集めたPR会なども、問屋さんと協力すれば可能性が広がる。自社だけでなく流通全体と連携しながら展開していくことが、Fleepの未来につながると考えています。

国内外でのコストや環境の変化は厳しいですが、難しい素材に挑戦し続けてきた経験と技術は私たちの大きな財産です。その財産を守りつつ、困っている人に「選ばれる下着」を届けていくこと。これがFleep、そして島崎の未来の姿だと思っています。

嶋﨑社長 ありがとうございました。

お話から強く感じたのは、Fleepというブランドが「効率では測れない価値」を積み重ねてきた歴史そのものだということです。
縫いにくい素材に挑み続けてきたことで、技術者の手にノウハウが蓄積され、他社には真似できない財産となっている。さらに、自社工場を維持するという重荷を背負いながらも、それを武器に変えて未来へとつなげている姿勢には、ものづくり企業としてのものづくりへの強い誇りが感じられました。
同時に、物価高や最低賃金の上昇といった現実的な課題に向き合い、海外工場や問屋との連携を模索しながら、どうすれば「必要とする人」に確実に届けられるのかを考え続けている点も印象的でした。
「難しさを強みに変える」という言葉は簡単ですが、それを18年続け、ブランドの差別化と信頼へと昇華させたFleepの歩みは、アパレル産業における一つの希望ではないのでしょうか。
今後、国内外でどのように広がっていくのか。Fleepの挑戦はこれからも続きます。

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